退院!と思ったら

「もう吐かなくなりました」「退院できますよ」
バンダナを首に巻いて帰ってきたのは、一昨日のことだった。


病院でぼくたちを見つけると、
ぴーすはクューン、クューン泣き声をあげた。
いつまでもいつまでもクューン、クューンと。


7日間の入院生活は、よほど寂しかったの?
ついこの前8日間のホテル暮らしをしたばかりだしね。


少し痩せた?ようには見えるけれど、
いつもの愛嬌たっぷりの表情。いつものぴーす。
元気そうだ。


胃を保護する薬を飲ませる、
30分たったら、ごはんを少しずつ与える、など様々な注意を受けて帰宅。


ぴーすは嬉しそうに家中をクンクン嗅ぎまわった後、
おもちゃを咥えてトコトコ、遊んで!遊んで!
やっぱりいつものぴーすだ。


後は家でゆっくり回復を待つばかり。
そう信じていた。


翌日、自宅へ帰ってみると、
ぴーすのサークルには、吐き出した朝ごはんの山が4つ5つ。
しかも今までなかった下痢まで!
あーあ(T_T)


ぴーすは困った顔で僕をチロチロ見つめている。
自分でも何が何だか分からないみたいだ。


再び病院に逆戻り。
「異物とか、何か固いものとか、食べましたか?」


ガーン!


朝の出かけ間際“大丈夫だろう”と思って...
「乾燥砂肝のオヤツをあげました...」


えっ?.....
背後から妻の驚きの声...
冷たい視線が背中を突き刺す...


「何とも断定できませんが、その可能性も考えられますね...」


こんなときドクター特有の慎重なコメントはちょっと助かる。


「砂肝は消化に悪いですから...」


“助かった”と思ったのは一瞬のことだった。


やっぱり、すなぎも?す・な・ぎ・も?
頭の中を「すなぎも」の四文字が走馬灯状態だ。
なんで砂肝なんかあげちゃったんだろう?
バカ、バカ、バカー、オレってなんてバカなの?
やっぱり「バカ親」だ!


吐きと下痢の止まらないぴーすはまたまた入院。
ぴーす!ごめん!


とはいえ、慎重なドクターは
「何か異物が腸に詰まっているかもしれない」とのことで
ぴーすはバリウムを飲む羽目になった。


電話で様子を聞いてみると、
知っている人なら誰もが嫌がるバリウムだっていうのに、
ぴーすは美味しそうにペロペロ舐めて喜んでいたらしい。


久しぶりの「ごはん」だもんなぁ。
転んでもタダでは起きない、って言うか逞しいゾ!


「バカ親」なぼくは、ちょっとだけ救われたのだった。