【番外編】ビーチBiz 続き
ビーチBizになっちゃったその日。
そもそも何で豪雨の中に無理に帰社したかといえば、
そもそもミーティングの予定があったからである。
ミーティングの相手とは某大手広告代理店の人だった。
彼もクライアントとの約束に遅れるわけにいかず、
豪雨の中を来たのだから、靴もズボンもグショグショだったはずだ。
ビーチBiz姿の僕を見て、
スーツにネクタイ姿の彼は一瞬ギョッとした表情をした。
そりゃそうだ。
いい歳したおっさんがド派手のアロハにビーサンで現われたのだから。
「御社も随分自由な社風ですね?」
おー!そんな質問待ってましたぁ!
「当社は“ビーチBiz”を提唱しているんですよ」
何が目的のミーティング?
半分以上の時間は、ビーチBizの話になっちゃった。
弊社からの帰路、彼は何をしに来たのだろう?って自問しただろう。
しかし、どんな話題でもしてみるものだ。
この酷暑の夏に、いくら営業とはいえ、いくら広告代理店とはいえ、
暑苦しい姿の理由が分かった。
「クールBiz」は、彼の会社のライバル会社である某々大手代理店の
発案によるものであって、彼の会社は“環境コンペ”に敗れたのだそうだ。
ははぁーん!そんな背景があったのか?
「ビーチBizを提唱して逆転したら?アイディアのパテント主張しないから」
「今度こそコンペに勝てば、そんな暑苦しい格好しないで済むじゃない?」
半分本気で、半分冗談で、提案しておいた。
あの会社が本気を出せば「ビーチBiz」など本当に実現できるだろうけどね。