昔話風「忠犬ぴー公」

(ぼくが出張していたときの実話だそうな)


ぴーすは、祖母の住む両親のウチへ遊びに出かけ、
オヤツをたくさんもらって遊んで大喜びだったとさ。


帰り際、妻について玄関に向かって歩いていると、
扉が半開きの部屋があったんだそうな。


「なんだろう?」ぴーすは鼻でチョンと押してみた。
ギぃーと開いたのでトコトコ入って行っちゃった。


あれぇ?それを見ていた妻も義父も義母も
「ぴーすは一体何をするんだろう?」と思ったさ。


すると、ぴーすはいきなりベッドにぴょんと飛び乗り、
寝ていた祖母の顔をいきなりぺロペロペロ、
ペロペロペロとそれはもうたくさん舐めたそうな。


妻は驚いて
「ぴーすもおばあちゃんを見舞ってる?」
両親も驚き、そして大喜び。


よだれまみれの祖母はもっと大喜び。
泣いてるんだか、笑ってるんだか分からなかったそうな。


それが後、ぴーすは両親のウチに来るたびに、
帰りには祖母の部屋にトコトコ入ってはペロペロペロ。
それが日課になったとさ。


ところが、ぴーすが遊びに来たある日、
祖母が少し具合が悪かったので扉を閉めて寝ていたそうな。


ぴーすは、いつものようにオヤツをもらって遊んで大喜び。
妻は祖母が具合が悪いの知って、祖母の部屋には寄らず、
玄関まで行き、「帰るよ〜」とぴーすを呼んだとさ。


その声にぴーすは、ぴょんぴょんと玄関まで一直線。
妻の膝に飛び乗り、さあ抱き上げられようとしたその瞬間、
ぴょんと飛び降り、トコトコと元来た道を戻り始めた。


「あれぇ?ぴーすどうしたの〜?」
妻の声を背に、ぴーすは祖母の部屋の前までトコトコトコ。
そして扉の前でチョンとお座りしたんだとさ。
まるで「さあ開けてください!」といわんばかりに。


「ぴーすー!」「ぴ〜ちゃん!!」
一同ぴーすの忠犬ぶりにいたく感心感心。
ぴーすはまたまたオヤツをたくさんもらえたとさ。
めでたし!めでたし!

おしまい。