ぴーすのいる朝

毎晩僕たち三人家族は「川」の字になって寝る。
とはいっても、ぴーすが僕と妻に挟まれて布団で寝ているわけではない。
寝室のベッドの横には、ぴーすのクレート(キャリーハウス)が並べてある。
ぴーすはその中で寝るので、僕、妻、ぴーすは「川」の字を作ることになるのだ。


ぴーすの朝は早い。

毎朝、日の出の時間↑にクレートの扉をカリカリ掻く。
こんな時間に起きるのは嫌だから、無視しようと努めるんだけど、
カリカカリカカリカカリカカリカカリカリ......
一向に止まらない。結局、根負けしてしまう。

クレートの扉を開けると、ぴーすは一目散にトイレシーツへ。
おしっこをチーッ、踵を返して寝室にターッ。

僕か妻か、どちらかの布団にゴソゴソもぐり込み、
そこでクルルンと丸まってまた寝る。


ぴーすの体温は39℃だから温かい。
湯たんぽ抱えているようで、この季節にはとても心地よい。
朝早く起こされても、またグッスリ眠れる。


だったらサッサとクレートの扉を開ければいいじゃん!
と思うだろうけど、トイレに行きたいのを我慢して寝ようと
がんばるのと同じで、朝方にはそんな論理的な行動はできない。

小一時間過ごすと、ぴーすは暑いのか?息苦しいのか?
寝ぼけまなこで、布団からモソモソ、ゴソゴソ出てくる。


そして、
僕たちのおでこから、鼻から、ところ構わずペロペロ舐める。
僕たちはたまらず起きる。


ぴーすは僕たちの目覚まし犬だ。